マントラとの出会い
私がはじめてマントラに出会ったのは、2012年でした。その頃、京都に住んでいた私は、RYT200(全米ヨガアライアンス)のヨーガ指導者資格を取得するため、大阪のスクールに通っていました。
そこではじめてマントラを知りました。クラスの前後には先生がマントラを唱えてくれたり、一緒に唱えることもあり、レッスン中にはサンスクリット語のマントラ音楽が流れていました。
当時の私は、マントラはお祈りの時に唱えたり、心地よい音楽として聴いていた程度で、その深い意味や唱え方まではよく理解していませんでした。
突然の体調不良
それから2013年、ヨーガ資格を取得した私は、東京でヨーガクラスを行っていました。そして、2016年のある朝、私はクラスへ向かう準備をしていたとき、突然、ひどい頭痛に襲われました。激しい痛みで、救急車で運ばれました。

救急車で運ばれ、病室で点滴中
検査では脳に異常が見つからなかったため、「問題ありません」と診断され、原因不明のまま帰宅することになりました。
しかし、その後も症状は続き、全身にしびれが広がり、まともに動くことすらできない日々でした。
実はその少し前、私は交通事故を経験し、2010年に脳脊髄液減少症と診断されました。ブラッドパッチという手術を2回受けましたが、それでもなかなか回復せず、2年間ほぼ寝たきりの生活を送っていました。
その後、「このまま病院に通っていても良くならないのでは」と感じ、試しに横になったままヨーガの呼吸法を始めてみました。続けていくうちに、少しずつ体力が戻り、起き上がれるまで回復しました。さらにヨーガのポーズ(アーサナ)も取り入れると、次第に普通の生活ができるほど元気になっていきました。
その経験があったため、私は「ヨーガをすれば今回も回復できる」と思っていました。しかし、この時の体調不良は、以前とは違い、何をしても良くならない状態でした。
そんな中で、何となくいつも聴いていたマントラを小さな声で口ずさんでみました。すると、それまでどうにもならなかった全身のしびれが、少しずつ、すーっと引いていくような感覚がありました。
その出来事に驚き、「マントラとは何なのだろう?」と思い、独学で学ぶようになりました。マントラは昔、瞑想をするための道具として、また神々に捧げる祈りの言葉として、他にも治療のために使われていたことを知りました。
マントラを唱えるようになる
体調が回復してからは、ヨーガのクラスに来てくれている方の中にも、もしかしたら私と同じように不調で悩んでいる方がいるかもしれない。そう思い、マントラを練習し、ヨーガクラスのあとにマントラを唱えるようになりました。

復帰後、一橋大学国際寮のヨーガクラスで、はじめてマントラを歌う
マントラというのは、楽譜があるわけではありませんし、マントラの目的によって唱え方もさまざまです。
私は、自分が体験したように、声に出して唱えることで、心身が調っていくことを大切にしながら、マントラの意味を理解し、心を込めて、「みなさんに届きますように」という思いで歌い始めました。
私のマントラを聞くと、目に涙を浮かべてくれる方がいます。そして、私自身も、マントラを唱えていると自然と涙が込み上げてくることがあります。
それは、悲しいからではなく、どこか自分の心の奥深い部分に触れられたときにこぼれる、涙のように感じました。
音楽会でのマントラ
そんなあるとき、偶然の出会いからプロの音楽家の方とご縁がつながり、軽井沢と東京で、楽器とマントラを組み合わせた音楽会を開催するようになりました。
音楽会に来てくださった方の中には、体調を崩している方もいらっしゃいました。ある方は、終わったあとに「実はここに来る前はすごく具合が悪かったんです。でも、それが今では消えていて本当にびっくりしています!ありがとうございます。」と声をかけてくださいました。
ほかにも、体調の変化を感じたと伝えてくださる方が多く、感じ方はそれぞれでしたが、「こうしてマントラの活動を続けていてよかった」と心から思いました。

東京のお寺でマントラ音楽会
マントラって何?私の学びと、学者たちの見方
その後、2019年にスピリチュアリズムに出会い、マントラについて学び、今まで以上に理解が深まっていきました。
マントラとは、音そのものが波動として働き、肉体や心に働きかける、とても威力があるものです。
マントラはサンスクリット語で、man(考える)+tra(手段)Mantra =「考える手段」と説明され、また「心を調えるための手段」とも言われることがあります。
しかし、マントラには、実は一般的に受け入れられた明確な定義というものがありません。マントラの意味や、語源が示すように言えるのかどうかについて、学者のあいだでは長いあいだ意見の違いが続いています。
ある学派は「マントラとは、意味よりも音の構造そのものに価値がある」と考え、別の学派は「マントラは意味を持つ言葉として、心に作用するものだ」と捉えています。
両者に共通しているのは、マントラの旋律がとても精密に構成されていて、それを聴く・唱える人に深い感動や共鳴をもたらすという点です。その感覚は、世界中の人が美しい音楽を聴いたときに感動するような、そういった言葉を超えた何かに近いということでした。
マントラは、誰にでもできる
マントラは、はじめての方でも、どなたでもできます。歌が上手かどうか、声がよく出るかどうかは関係ありません。サンスクリット語に込められた、音の響きそのものに価値があり、その響きが心や体を調えるための働きを持っているからです。
マントラクラス開催への想い
マントラを通じて、みなさんにも心身が調う体験をしていただきたい。その思いから、今回マントラのオープンクラスを開催することにしました。
心が疲れているときも、体が重く感じるときも、あるいはより健康に過ごしたいときも、マントラを歌うことで少しずつ自分が調っていく感覚があります。よかったら、その変化を一緒に体験してみませんか。
これまで私が学んできたヨーガや英国スピリチュアリズムの知識と経験をもとに、みなさんがサンスクリット語のマントラを心身を調えるための道具として唱えられるよう、サポートさせていただきます。
Ru apは小さな空間で、クラスは少人数制になりますが、ゆったりとご参加いただけます。
また、ご希望があれば土曜日以外の日程や出張にも伺いますので、どうぞお気軽にお声掛けくださいね。
みなさんとご一緒できる時間を、心から楽しみにしています。

