【自動書記】心の働き 1-3

心の指針(一) 
心の働き

先にも述べたが、肉体的行動の現実のものと認識している人間には、到底とうてい考えはおよびつかないことであるが、地球上はもとよりあまねく宇宙では、天上天主てんじょうてんしゅを始め諸々もろもろの神の衝動(心の働き)により、宇宙の調和がたもたれる仕組みは先に述べたごとくである。

人類に宿る心も森羅万象しんらばんしょうれず、玄学げんがくの高度な知識によれば、心とは一つ一つが等しく最も優れ完成された、かくもとである素粒子そりゅうしの結合によるものと理解され、宝石に例えるなら原石に等しいと言えるであろう。従って磨かなくては光を発することがないのと同様、人として価値をかすも、駄目にするのも心を磨くかいなかで決定されるものである。

人々の心は、目ではとらえることが出来ない天との糸で一人一人が結ばれ、あたかいにしえの物語に出てくる、大空を自由に飛び回ることが出来ないのと同様、多くの人々は自由の持つ意味を誤った解釈をし、加えて我欲をからませおのれになるべく、己の立場での権利を主張している自我の強さが目立つようになった今日、如何いかにして人々とを保っていくことが叶うであろうか。人間の自我とは欲望と同じく、人々の心を狂わせる邪鬼じゃきそのものである。

人々の心にはぜんもあればあくもあることは周知しゅうちのことであるが、天は正邪同一せいじゃどういつの心は人々が宿すことは許されていない。しかし人々の心は千差万別せんさばんべつ、世の流れにともなって悪もはびこるようになり、人々の良心に訴える以外にはないと言っても、最早もはや人々には抑えが効かない世情せじょう動向どうこう、一人一人が正鵠せいかくな判断力で、諸事しょじに対応することを余儀よぎなくされる日が、刻々こっこくと訪れて来ることを知ることになるであろう。

自然とは天上すなわち神々の衝動により創造された、心の働きでおさめられている仕組みによる摂理せつりであって、自然はいにしえより人類に様々の恵みと教えをもたらし、人々も日々感謝の気持ちを抱いて自然と共存した生活を送ってきた。

しかし時代の流れの中人間の頭脳は日進月歩にっしんげっぽとして進化し、千来せんらいの心の働きを忘れたかのように、ひたすら肉体的行動を現実として、自我を翻弄ほんろうし欲望をつのらせ、人類の心のいしずえとも言うべき自然環境を破壊はかいしてまで、人々は何を求めようとして来たのであろうか。

昔日せきじつのように人々の多くは、暮らし向きに特に余裕はなかったが、心はゆったりとして争い事は好まず、周囲の人々とは親しく心を開いて交流を深めてきた。しかし、現在の世情せじょう利己的りこてき風潮ふうちょうが強まり、とかくおのれからに閉じもりがちで、特に都会を中心に心の扉を自ら開こうとする者は目立って少なくなり、現在おのれは人のためにあると、心の底から考えている人達は幾人いくにんいるであろうか。

文明の窓が開かれるにつれて物質文明の波に踊らされ、人としての本来の心を見失ってしまい、自然の恩恵を忘れたかのように、見栄みえを張って高級品を買い求めるなど、贅沢な生活を送ることが現代の文明人とばかりおごり高ぶり、食べ物に事欠ことかく人々のことを考えない人々の心は、現代社会の悪の温床おんしょうを育てた根源こんげんになっていると言って、誰にはばかりがあるであろうか。

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